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社会保険の資格取得・喪失手続き|入退社時に会社がやることを社労士が解説!

従業員を採用したとき、また従業員が退職したとき、会社は社会保険の手続きを行わなければなりません。これらは「資格取得手続き」「資格喪失手続き」と呼ばれ、法律で定められた事業主の義務です。

しかし、中小企業では総務・人事の専任担当者がいないことも多く、「何を」「いつまでに」「どこへ」提出すればよいのか分からないというご相談を多くいただきます。

この記事では、社会保険労務士の視点から、入退社時に会社が行う社会保険手続きについて、中小企業向けにわかりやすく解説します。

目次

社会保険の資格取得・喪失手続きとは

社会保険の資格取得手続きとは、従業員が入社して社会保険の加入対象になったときに、その従業員を被保険者として届け出る手続きです。逆に、退職などで加入対象でなくなったときに行うのが資格喪失手続きです。

ここでいう社会保険には、大きく分けて次の2つがあります。

  • 健康保険・厚生年金保険(いわゆる社会保険)
  • 雇用保険(労働保険の一部)

それぞれ提出先や期限が異なるため、入退社時には両方の手続きを並行して進める必要があります。

入社時に会社が行う社会保険手続き

健康保険・厚生年金保険 資格取得届

従業員が入社し、加入条件を満たす場合は「被保険者資格取得届」を提出します。提出先は、協会けんぽに加入している会社であれば年金事務所(事務センター)です。

提出期限は、入社日(資格取得日)から5日以内とされています。意外と短いため、入社が決まった段階で早めに準備しておくことが大切です。

雇用保険 被保険者資格取得届

雇用保険の加入条件を満たす従業員については、「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークへ提出します。提出期限は、資格取得日の属する月の翌月10日までです。

入社時に必要な情報・書類

手続きには、従業員のマイナンバー、基礎年金番号、雇用保険被保険者番号などが必要です。前職がある従業員の場合は、年金手帳や雇用保険被保険者証などで番号を確認します。扶養家族がいる場合は、あわせて被扶養者の届出も行います。

なお、2024年12月の様式変更により、健康保険・厚生年金保険の資格取得届には「資格確認書発行要否」のチェック欄が設けられています。入社手続きの段階で、従業員がマイナンバーカードを健康保険証として利用登録しているか(マイナ保険証を保有していないか)を確認し、資格確認書の発行が必要な場合はチェックを入れて提出します。この確認を入社時のフローに組み込んでおくと、保険資格の証明をスムーズに受け取れます。

退社時に会社が行う社会保険手続き

健康保険・厚生年金保険 資格喪失届

従業員が退職した場合は「被保険者資格喪失届」を年金事務所へ提出します。提出期限は、退職日の翌日(資格喪失日)から5日以内です。

雇用保険 被保険者資格喪失届・離職証明書

雇用保険については「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークへ提出します。提出期限は、退職日の翌日から10日以内です。あわせて、退職者が失業給付を受ける場合に必要となる「離職証明書」を作成し、離職票を交付します。

2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職の場合の給付制限期間が原則2か月から1か月へ短縮されました。退職者がより早く失業給付を受けられるようになったため、会社による離職票の速やかな交付が、これまで以上に重要になっています。退職が決まった段階で離職証明書の作成準備を進めておくとよいでしょう。

資格確認書などの回収・取り扱い

従来の健康保険証は2025年12月2日に完全に廃止され、現在はマイナ保険証または資格確認書で保険診療を受ける仕組みに移行しています。マイナ保険証を保有していない従業員には、加入する保険者から資格確認書が交付されています。

そのため、退職時には資格確認書や被扶養者分の証明書類について、回収が必要かどうかを保険者の案内に従って確認し、対応する必要があります。なお、健康保険証の廃止に伴い、従来のような事業主経由での保険証返却は不要としている保険者もあります。回収の要否や方法は加入している健保組合・協会けんぽによって扱いが分かれるため、自社が加入する保険者のルールを確認しておきましょう。

入退社手続きでよくある注意点

同月得喪(入社・退社が同じ月)の扱い

入社した月のうちに退職した場合(同月得喪)でも、その月の社会保険料が発生します。給与計算や保険料控除でミスが起きやすいポイントなので注意が必要です。

提出期限の遅れによるリスク

手続きが遅れると、保険証の発行が遅れて従業員が医療機関を受診しづらくなったり、保険料の遡及徴収が発生したりします。従業員との信頼関係にも影響するため、期限管理は徹底したいところです。

被扶養者の手続き

従業員本人だけでなく、配偶者や子などの扶養家族についても、加入・脱退や状況変更に応じた届出が必要です。配偶者が国民年金第3号被保険者となる場合の手続きも忘れずに行います。

電子申請(e-Gov)の活用

これらの手続きは、e-Gov(電子申請)を利用してオンラインで提出できます。窓口や郵送に比べて時間を短縮でき、提出記録も残るため、中小企業でも導入が進んでいます。特に入退社が重なる時期には、電子申請の効率性が大きなメリットになります。

社労士としての私見

入退社時の社会保険手続きは、一見すると単純な「届出作業」に見えますが、提出期限が短く、雇用保険・健康保険・厚生年金で期限や提出先がそれぞれ異なるため、実務では意外とミスが起こりやすい分野です。

特に中小企業では、採用や退職が突発的に発生することも多く、本業に追われる中で手続きが後回しになりがちです。しかし、手続きの遅れは従業員の不利益に直結し、会社への不信感につながりかねません。

私は、入退社手続きこそ「会社の信頼性が表れる場面」だと考えています。スムーズで正確な手続きは、従業員に安心感を与え、定着率の向上にもつながります。人手不足が深刻化するこれからの時代、こうした基本的な労務管理を確実に行うことが、選ばれる会社になるための第一歩だといえるでしょう。

手続きに不安がある場合や、件数が増えて負担が大きいと感じる場合は、社会保険労務士に委託することも有効な選択肢です。

まとめ

従業員の入退社時には、健康保険・厚生年金保険・雇用保険それぞれで資格取得・喪失の手続きが必要です。提出期限は5日以内・10日以内などと短く設定されているため、入社・退職が決まった段階で早めに準備を進めることが大切です。

正確でスピーディーな手続きは、従業員の安心と会社の信頼につながります。負担が大きい場合は専門家の活用も検討しながら、適切な労務管理を心がけましょう。

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