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キャリアアップ助成金 正社員化コースの申請方法・要件・助成額まとめ

千葉市美浜区で社労士事務所を運営している八重樫です。

今回は、数ある助成金の中でも特に活用企業の多い「キャリアアップ助成金 正社員化コース」について、令和8年度(2026年度)の最新制度を踏まえた申請のポイントを徹底解説します。

毎年のように制度が改定されるため、古い情報のまま申請準備を進めてしまうケースが後を絶ちません。このブログをお読みの方は、ぜひ最新の内容を確認してください。

目次

キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは?

この助成金は、有期雇用労働者やパート・アルバイトといった非正規雇用労働者を正社員へ転換した事業主に対して支給される制度です。

少子高齢化による人手不足が深刻化する中、中小企業にとって「人材の定着」と「採用コストの軽減」を同時に実現できる、重要な支援策といえます。

キャリアアップ助成金 正社員化コースの助成額

    ※出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内パンフレット」(令和8年度版)」

令和7年度(2025年4月)の改正から、助成は「第1期(転換後6か月)」と「第2期(転換後12か月)」の2期制が継続されています。ただし、第2期の申請ができるのは「重点支援対象者」を転換した場合に限られます。

重点支援対象者とは、次のいずれかに該当する労働者です。

  • A:雇い入れから3年以上の有期雇用労働者
  • B:雇い入れから3年未満の有期雇用労働者で、「過去5年間に正社員であった期間が合計1年以下」かつ「過去1年間に正社員として雇用されていない」方
  • C:派遣労働者、母子家庭の母等または父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

重点支援対象者を有期雇用から正社員へ転換した場合、第1期・第2期合わせて最大80万円が受給できます。それ以外の方を転換した場合は、第1期のみの40万円となります。

また、令和8年度(2026年4月8日以降の転換)から、「情報公表加算」が新設されました。正社員転換制度の概要や直近3事業年度の転換実績などをインターネット上で公表することで、1事業所あたり20万円が加算されます。制度を新たに整備した場合の加算(20万円)と合わせると、最大で1人あたり100万円を超える受給も可能です。

なお、支給申請の上限は1年度・1事業所あたり20名です。

対象となる企業と労働者の条件

対象企業

  • 雇用保険適用事業所であること
  • キャリアアップ管理者を配置し、適切な労務管理を行っていること

対象労働者

  • 転換前に正社員とは異なる賃金規定が適用される雇用区分のもとで、通算6か月以上雇用されていること
  • 転換前の過去3年以内にその企業で正社員として雇用されたことがないこと
  • 注意:新規学卒者は雇い入れから1年未満の期間は対象外です

正社員化コースの支給要件

助成金を受給するためには、形式的な転換だけでなく、以下の要件をすべて満たす必要があります。

①正社員転換制度の整備

就業規則に「正社員への転換規定」が明文化されている必要があります。口頭の約束や慣例では認められません。

②賃金の3%以上増額

転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間と比較して3%以上増額していることが必須です。基本給や固定的な手当が対象で、賃金台帳により厳格に審査されます。

③賞与又は退職金制度と昇給の整備(令和5年改正要件)

正社員に対して「賞与または退職金制度」と「定期的な昇給制度」が就業規則に明記されており、実際にそれらが適用される正社員への転換であることが求められます。この点を見落としているケースが多いため、就業規則の整備と合わせて必ず確認してください。

④転換後6か月間の継続雇用と賃金支払い

正社員へ転換した後、6か月以上継続して雇用し、その期間の賃金を適切に支払う必要があります。

申請までの4ステップ

後出しができない項目が多いため、スケジュール管理が申請成否の鍵を握ります。

ステップ1:事前準備(キャリアアップ計画の届出)

就業規則を整備し、「キャリアアップ計画書」を管轄の労働局へ転換を行う前日までに届け出ます

【重要】令和7年度の改正により、以前は「労働局長の認定」が必要でしたが、現在は届出のみで手続きが完了するよう簡素化されました。ただし手続きが簡素化された分、計画書の内容や提出日・関連書類の保管に不備があると申請却下のリスクが高まります。

ステップ2:正社員への転換実施

就業規則の規定に基づき、試験や面談を経て正社員へ転換します。この際、転換後の労働条件通知書(雇用契約書)を必ず交わし、賃金3%以上増額などの条件を明確にしておきます。

ステップ3:6か月間の運用と賃金支払い

正社員として6か月間勤務させ、適正な賃金を支払います。この間の賃金台帳・出勤簿等は必ず保管してください。

ステップ4:支給申請

6か月分の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書と添付書類を管轄の労働局へ提出します。1日でも期限を過ぎると受付されないため、期限管理は厳密に行ってください。

必要書類一覧

書類の不備は不支給に直結します。漏れがないよう事前にチェックリストを作成しておきましょう。

申請書類(様式)

  • キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号)
  • 正社員化コース内訳(別添様式1-1)
  • 正社員化コース対象労働者詳細(別添様式1-2)
  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)

添付書類

  • キャリアアップ計画書の写し
  • 就業規則(転換規定・賞与または退職金・昇給規定が記載されたもの、転換前後の両方)
  • 転換前後の労働条件通知書または雇用契約書の写し
  • 雇用された日付が分かる書類
  • 賃金台帳(転換前後各6か月分)
  • 賃金3%以上増額に係る計算書
  • 出勤簿またはタイムカード(転換前後各6か月分)

※ 申請様式は制度改定のたびに更新されます。申請時には必ず厚生労働省の公式サイトから最新様式をダウンロードしてください。

よくある不備・注意点

以下は申請却下につながりやすい主な不備です。事前にしっかり確認してください。

  • 就業規則の不備:転換規定の記載が曖昧、賞与・退職金・昇給の規定が未整備のまま申請しているケースが多い
  • 賃金増額の不充足:基本給ではなく手当で調整しようとするケース、計算方法が不合理として指摘を受けるケースがある。賃金台帳で増額の根拠を明確に示せるよう準備が必要
  • 申請期限の遅れ:2か月という期限は厳格に運用されており、1日でも過ぎると受付されない
  • キャリアアップ計画の未提出・転換後の届出:転換の前日までに届け出ることを忘れると一切支給されない

中小企業が活用するメリット

  • クを下げる
  • コスト負担の軽減:人件費の一部が助成されるため、コストを抑えながら人材強化が可能
  • 採用ブランディングへの貢献:情報公表加算の活用で正社員転換実績を公表することで、求職者からの信頼感向上にも一役買う

社労士の見解

正社員化コースは非常に有効な制度ですが、「申請ありき」で進めると失敗しやすい助成金でもあります。

特に重要なのは、制度設計と運用の整合性です。就業規則に記載されている内容と実際の運用が一致していない場合、審査で否認されるリスクが高まります。また、賃金設計についても慎重な検討が必要です。形式的な増額ではなく、合理的な賃金体系の中での改善が求められます。

中小企業の場合、人事制度が未整備のケースも多いため、助成金をきっかけに就業規則や賃金体系を見直すことが、結果的に最も効果的です。単なる資金調達ではなく、「人材戦略の一環」として活用することをおすすめします。

まとめ

キャリアアップ助成金 正社員化コースの申請ポイントをまとめると次のとおりです。

  • 転換前日までにキャリアアップ計画書を届け出ること
  • 就業規則に転換規定・賞与または退職金・昇給の規定を整備すること
  • 賃金を3%以上増額し計算根拠を明確にすること
  • 6か月間の運用実績と書類を確実に保管すること
  • 期限内(転換後6か月分の賃金支払い翌日から2か月以内)に申請すること
  • 令和8年度は「情報公表加算(20万円)」の活用も検討すること

制度は毎年改定されます。申請を検討する際は、厚生労働省の公式サイトで最新のパンフレットと様式を必ず確認してください。

制度の設計から申請まで、少しでも不安がある場合は、ぜひ専門家である社労士にご相談ください。

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