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パパママ育休プラス制度の条件・期間・注意点を社労士が徹底解説!

少子化対策の加速や働き方改革のさらなる推進により、育児と仕事を両立するための制度整備は、企業にとって「避けて通れない課題」となりました。その中でも、特に夫婦で協力して育児を行うことを促す仕組みとして注目されているのが「パパママ育休プラス制度」です。

2025年4月・10月の改正育児・介護休業法の施行を経て、2026年現在、中小企業においても男性の育休取得状況が「企業の採用力や格付け」に直結する時代に突入しています。「制度の内容が複雑でよく分からない」「実務上、何に気をつければいいのか」と悩む経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

そういった方たちに向けて、社労士の視点からポイントをわかりやすく解説します。

目次

パパママ育休プラス制度とは

パパママ育休プラス制度とは、両親ともに育児休業を取得する場合に、子どもが1歳2か月になるまで育児休業を延長できる制度です(育児・介護休業法第9条の2)。

通常、育児休業は原則として「子が1歳になるまで」とされています。しかし、父母が協力して育児を行う場合には、より柔軟に育休を取得できるよう、この制度が設けられています。

ただし、「1歳2か月まで必ず休める」という意味ではありません。父母それぞれが取得できる育休期間の上限は最大1年間(通算)であり、制度の要件を満たす必要があります。

通常の育児休業との違い

通常の育児休業では、原則として子が1歳になるまでしか取得できません(保育園への入園不承諾など、一定の事情がある場合は最長2歳まで延長可能)。

一方、パパママ育休プラス制度では、父母双方が育休を取得することで、子どもが1歳2か月になるまで取得可能期間が延長されます。ただし、父母それぞれが取得できるのは最大1年間です。たとえば、母親が産後休業後すぐに育休を開始し1年間取得した場合、父親は子が2か月のときから1歳2か月になるまでの間の最大1年間を取得できることになります。

この制度は特に父親の育児参加促進を目的としており、「男性育休」の推進とも深く関係しています。

なぜ制度が作られたのか

背景には、女性に育児負担が偏りやすい日本の雇用環境があります。父親が育休を取得しやすくすることで、家庭内の育児負担を分散し、女性の継続就業を支援し、出産後の離職防止につなげるという目的があります。

近年では、中小企業でも男性育休取得率が採用活動や企業イメージに影響するケースが増えています。

パパママ育休プラス制度の対象者と条件

制度を利用するためには、いくつかの条件があります。

両親ともに育児休業を取得すること

最も重要なのは「父母の両方が育児休業を取得すること」です。母親のみ、または父親のみの取得では対象外となります。

子が1歳になる前までに取得を開始すること

父親側の育休は、子どもが1歳になる前までに開始している必要があります。取得タイミングを誤ると制度の対象外となるため、事前確認が重要です。

延長できる期間の考え方

「1歳2か月まで延長」と聞くと単純に2か月が追加されるように感じますが、実際には父母それぞれの取得上限は1年間のままです。母親と父親の育休取得時期がずれることで、家族全体としてカバーできる期間が1歳2か月まで広がるというイメージです。夫婦それぞれの取得時期によって実際の期間は変わりますので、個別に確認が必要になるケースも少なくありません。

パパママ育休プラス制度のメリット

子育てと仕事を両立しやすい

夫婦で協力して育児を行えるため、育児負担を分散できます。特に出産直後は母親の身体的負担も大きいため、父親が育休を取得する意義は非常に大きいといえます。

父親の育児参加を促進できる

男性育休取得率は年々上昇しています。パパママ育休プラス制度は、単なる休暇制度ではなく、「男性が育児に参加する文化形成」にもつながっています。

企業の採用・定着にもプラス

若手人材は、福利厚生や働きやすさを重視する傾向があります。「男性育休取得実績あり」「育児支援制度が整備されている」といった企業は、採用市場でも優位になりやすいでしょう。

2025年の法改正で何が変わったか

パパママ育休プラス制度そのものの内容(1歳2か月まで・取得上限1年等)は2025年改正では変わっていませんが、周辺制度が大きく拡充されています。実務上は以下の点をあわせて理解しておく必要があります。

残業免除の対象が拡大(2025年4月施行)

所定外労働の制限(残業免除)を請求できる対象者が、「3歳未満の子を育てる労働者」から「小学校就学前の子を育てる労働者」へ拡大されました。就業規則の見直しが必要です。

子の看護等休暇の見直し(2025年4月施行)

子の看護休暇は名称が「子の看護等休暇」に変わり、対象年齢が「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に拡大されました。また、入学式・卒業式・学級閉鎖なども取得事由として追加され、勤続6か月未満の労働者を除外できる労使協定の規定も廃止されました。

育休取得状況の公表義務が拡大(2025年4月施行)

男性の育休取得率の公表義務の対象が、「従業員1,000人超」から「従業員300人超」に拡大されました。対象企業は年1回、前事業年度終了後おおむね3か月以内にインターネット等で公表する必要があります。なお、「従業員100人超」の企業に新たに義務付けられたのは、一般事業主行動計画策定時に育休取得状況の把握・数値目標の設定を行うことであり、公表義務の規模要件(300人超)とは別の話ですのでご注意ください。

3歳以上就学前の子を持つ従業員への柔軟な働き方の措置義務(2025年10月施行)

3歳以上小学校就学前の子を育てる従業員に対し、事業主は以下の5つの制度のうち2つ以上を選択して設ける義務が生じています。

  • 始業時刻等の変更(時差出勤・フレックスタイムなど)
  • テレワーク等
  • 保育施設の設置運営等
  • 育児休業に準ずる休業
  • 短時間勤務制度

労働者が希望する制度を実際に選択して利用できる体制を整えることが求められます。

個別の意向聴取・配慮の義務化(2025年10月施行)

事業主は以下の2つのタイミングで、労働者の仕事と育児の両立に関する意向を個別に聴取し、その意向に配慮することが義務付けられました。

  • 従業員本人または配偶者が妊娠・出産等を申し出たとき
  • 子どもが3歳の誕生日の1か月前までの1年間(2歳の誕生日翌日から3歳の誕生日1か月前まで)

面談・書面交付・メール等の方法で行う必要があります。

中小企業が押さえるべき実務ポイント

就業規則・育児介護休業規程のアップデート

2025年4月・10月の改正事項が、自社の就業規則や育児介護休業規程に反映されているか今一度ご確認ください。残業免除の対象年齢、子の看護等休暇の対象年齢・取得事由、柔軟な働き方の選択肢など、複数箇所の修正が必要になります。

社内周知と相談体制の整備

制度が存在していても、従業員が知らなければ意味がありません。相談窓口の設置、制度説明資料の配布、管理職研修など、周知体制の整備も重要です。特に改正された「個別の意向聴取」は、上司や人事担当者が正しい手順で対応できるよう、あらかじめ研修やマニュアルを整えておくことをおすすめします。

人員配置・業務引継ぎへの対応

中小企業では1人が抜ける影響が大きくなりやすい傾向があります。業務マニュアルの整備、多能工化、引継ぎフローの構築など、事前準備が重要です。育休対応を機に業務の属人化を解消しておくことは、急な病欠や災害時のリスクマネジメントにもつながります。

育児休業給付金との関係

育児休業中は、一定の条件を満たすことで雇用保険から育児休業給付金が支給されます。パパママ育休プラス制度の期間(1歳2か月まで)も対象になりますが、被保険者期間などの要件は個別に確認が必要です。従業員から質問を受けるケースも多いため、人事担当者は基本知識を把握しておくとよいでしょう。

産後パパ育休との組み合わせ活用

2022年10月に創設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子の出生後8週間以内に最大28日間(2回まで分割可)取得できる制度で、パパママ育休プラス制度と組み合わせて活用できます。

たとえば、父親がまず産後パパ育休で出生直後に2週間取得し、その後通常の育児休業に移行して子が1歳2か月になるまでパパママ育休プラスを活用するという流れが考えられます。産後パパ育休は通常の育児休業とは別枠で取得できるため、父親の育児関与の総量を最大化できるという点で注目されています。

ただし、各制度の申出期限・要件・給付金の受給条件はそれぞれ異なります。「どの制度をどの順番で使うか」は個別の事情によって最適解が変わるため、事前に社労士等への相談をおすすめします。

パパママ育休プラス制度の注意点

自動延長ではない

制度は自動適用ではありません。会社への申出と必要書類の提出が必要です。申請漏れがあると適用されない可能性もあります。

配偶者の取得状況の確認が必要

制度利用には、配偶者が育児休業を取得していることが条件になります。そのため、配偶者の育休取得を証明する書類や勤務先情報などが必要になる場合があります。

申請期限に注意

育休申出には期限があります(原則として1か月前まで)。直前の申請では実務対応が混乱しやすいため、早めに従業員と相談できる体制を整えておくことが望ましいでしょう。

復職後も続く支援:育児時短就業給付金(2025年4月新設)

パパママ育休プラスで育休期間を最大限活用した後の「復職後」の経済的な不安を和らげる制度として、2025年4月に「育児時短就業給付金」が新設されました。

この給付金は、2歳未満の子を養育するために時短勤務を選択した雇用保険の被保険者に対し、時短勤務中の賃金額の10%相当額(上限あり)が雇用保険から支給されるものです。時短勤務による収入減を補い、復職後も育児と仕事を両立しやすくすることが目的です。

申請は原則として事業主を通じてハローワークへ行います。育休から引き続き時短勤務で復帰した場合は手続きが一部簡略化されますが、支給要件や申請期限は通常の育休給付とは異なるため、人事担当者としても制度の概要を把握しておくことをおすすめします。

社労士の見解

「人が少ないから、うちは育休なんて無理だ」——かつてはそうおっしゃる経営者の方も少なくありませんでした。しかし2026年現在の労働市場において、育休が取れない会社は、若手人材から選ばれる選択肢から外れやすい状況になっています。

パパママ育休プラスへの対応を、単なる法的義務(コスト)と捉えるか、優秀な人材を惹きつける「投資」と捉えるかで、数年後の企業の成長力は大きく変わります。

また、中小企業は大企業よりも柔軟な制度運用がしやすいという強みがあります。テレワーク活用、時差出勤、短時間勤務との組み合わせなど、実態に合った運用を検討することで、従業員満足度向上にもつながります。制度整備を「コスト」と考えるのではなく、「人材投資」として捉える視点が重要です。

まとめ

パパママ育休プラス制度は、父母が協力してキャリアと育児を両立させるための重要な制度です。制度そのものの理解とあわせて、2025年に施行された周辺制度の改正内容(残業免除の対象拡大、子の看護等休暇の見直し、柔軟な働き方の措置義務、個別の意向聴取・配慮の義務化)を正しく把握し、就業規則への反映と社内周知を着実に進めていくことが求められます。

男性育休が「当たり前」になった今、一歩先を行く職場環境づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

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